売掛債権さえあれば、受注した仕事を終える前に現金化が可能になるファクタリングは、多くの事業者が注目している新しい資金調達方法です。しかしファクタリングは便利な反面、デメリットと思われる点も決してなくはありません。
今回は、ファクタリングにおけるデメリットについて、詳しく解説しましょう。
ファクタリングのデメリット
ファクタリング利用においてデメリットといえる点は、以下の6点です。それぞれの特色について説明しましょう。
手数料が高い
ファクタリングのデメリットでよく挙がるのが、手数料が高いという点です。ファクタリングの契約方法は、2社間ファクタリング・3社間ファクタリングの2種類があります。この2種類の手数料相場は以下の通りです。
契約方法ごとの手数料の相場
- 2社間ファクタリングの場合:10%~30%
- 3社間ファクタリングの場合:1%~10%
両者の手数料相場を比べた場合、2社間ファクタリングのほうが手数料が高めとなっています。2社間は3社間より売掛債権の未回収リスクが高いため、手数料も高めの設定です。
2社間ファクタリングのほうが手続きが簡単で即日現金化がしやすいため、2社間を利用する事業者が多く、その結果、手数料が高いという意見が多くなっているのでしょう。
売掛金によって限度額が決まる
売掛金以上の現金化ができないのも、デメリットの一つです。ファクタリングは、事業者と取引先(売掛先)との契約で発生した売掛債権を、ファクタリング会社に売却することで現金化できます。
調達したい資金額が1,000万円でも、売掛金が500万円であれば、希望の資金調達額は実現できません。希望する資金調達を達成するためには、売掛金が1,000万円以上になる仕事を受注する必要があります。
銀行融資や金融機関の借り入れであれば、限度額はあるものの審査結果によって希望額の融資・借入が可能ですが、ファクタリングは売掛金によって限度額が決まる仕組みです。
取引先へ利用を知られてしまう(3社間契約の場合)
2社間ファクタリングは事業者・ファクタリング会社のやり取りになるため、売掛先にファクタリング利用を知られることはありません。しかし3社間ファクタリングの場合、2社間に加えて売掛先も交えての契約になるため、売掛先にファクタリング利用を知られてしまいます。
急速にその存在が浸透しているファクタリングですが、それほど多くの知名度を獲得しているとはいえず、会社によってはファクタリングを知らないところもあるでしょう。
そのような会社にファクタリング利用を知られてしまうと、資金繰りに苦しいから前借りを希望しているなどという解釈をされて、今後の取引に悪影響が出る可能性もあります。
債権譲渡登記が必要な場合がある(2社間契約の場合)
2社間ファクタリングを契約した場合、債権譲渡登記をしなければいけないケースもあります。債権譲渡登記とは、債権を譲渡したことを法律に沿って記録することです。ファクタリングの場合は、「事業者がファクタリング会社に債権を譲渡した」という意味合いになります。
この記録は、法務局にて手続きを行うため、公に公開される情報です。そのため、ファクタリング利用を知らない売掛にも知られる可能性があるでしょう。この場合、先述したようにファクタリング利用=経営的に苦しいという印象を与えてしまうかもしれません。
また、債権譲渡の登記は以下のような費用も発生します。
- 登記費用7,500円
- 司法書士の手続き代行報酬5万~10万円
事業者が全額支払わなくてはいけないため、人によっては負担になりデメリットと思う人もいるでしょう。
悪質なファクタリング会社もある
残念ながらファクタリング会社のなかには悪質な会社も存在します。悪徳ファクタリング会社の手口は、相場よりはるかに高額の手数料の請求です。
このような会社は、闇金業者が別の事業としてファクタリング会社を経営しているパターンもあります。
手数料は、先述した相場を把握しておくことが大事です。
頼り過ぎると運営に悪影響も
ファクタリングは通常の報酬支払いよりも、はるかに早く現金化ができることが利点です。しかし、ファクタリングに慣れきってしまい早期現金化が当たり前になると、ファクタリングに頼り過ぎた経営になる恐れがあります。
資金難→ファクタリングで早期入金というサイクルに陥ってしまうと、経営自体が自転車操業になり、経営をひっ迫するでしょう。
資金繰りを円滑にして経営を安定させる利点があるファクタリングも、その便利さに頼り過ぎると、結果的に経営難を促進させてしまうのです。
もちろんメリットもある
以上、ファクタリングにおけるデメリットを紹介しましたが、ファクタリングにはもちろんメリットも多数あり、そのため多くの事業者が注目しています。ファクタリングのメリットには以下のようなものが代表例です。
- 早期入金が可能
- 取引先が倒産に影響されない
- 自社の業績が良くなくても問題なし
- 手続きに手間がかからない
- 資産のオフバランス化が可能
まとめ
ファクタリングのデメリットを把握することで、ファクタリングという資金調達方法が本当に自分に適しているか、判断できます。よく考慮してファクタリング利用を決定しましょう。
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